精子保存とは?

■精子は鮮度が大切
妊娠するためには、女性側が排卵日のタイミングであること、そして男性側の精子が新鮮であることが条件となります。精子の鮮度が妊娠の確率に大きく影響するため、民間の精子バンクではシリンジ法でも精子提供を女性の排卵日に合わせて直接の手渡しが一般的です。それに精子バンクのタイミング法では、排卵日に合わせて精子提供者と性行為を行い、自然な妊娠を目指します。

人工授精や体外授精、そして精子バンクでの提供においては、精液は直前のタイミングで採取するのが理想的です。しかし直前のタイミングが難しければ、当日中に採取するようにと推奨されます。

■精子保存とは?
一方で、医療機関における人工授精(AID)の場合には、精子提供者から新鮮な精子をその場で提供してもらうことはできません。そのため、採取された精子を特殊な方法によって凍結保存することになります。凍結保存された精子は、授精のタイミングに合わせて融解されて、顕微授精や人工授精などに使われます。

精子の凍結保存をする事で、精子を長期にわたって保存することが可能となります。しかし凍結保存する期間が長くなると、その分融解した時の精子の生存率は低下してしまうため、保存期間には注意しなければいけません。一般的には、精子の凍結保存は最長で10年までとなっています。

■精子の凍結は誰でも利用できる?
精子の凍結は、基本的に不妊治療を行うクリニックなら誰でも利用できます。若い時に精子を凍結しておいて将来の万が一に備えたり、ガンの化学療法を始める前に精子を凍結し、治療後の夫婦の妊活に活かすこともできます。

■精子保存にかかる費用
精子の凍結保存では、不妊治療を行うクリニックが施設内で保存することになります。保存に関しては1年ごとに保管料が発生し、クリニックによって費用は異なるものの、目安としては年間当たり2万円〜3万円程度が相場です。

精子保存は、最長で10年間までが可能ですが、1年ごとに延長の申請をする必要があります。これは日本産婦人科学会が決めているルールで、どの医療機関で保存する場合でも同じです。更新の際には、本人が直接身分証明書を窓口で提示するほか、遠方に住んでいる人なら現金書留やクレジットカード払いに対応している医療機関もあります。どの医療機関で精子保存するかを決める際には、将来の更新方法も判断材料の一つにすると良いでしょう。

なお、保存している精子に関しては、いつでも融解して利用できますし、破棄依頼をする事も可能です。